インプラント
インプラント
より安全に精度の高いインプラント手術を行うためには、CT撮影による画像診断が必要不可欠です。CT撮影を行うことで三次元的に骨の状態を診断することもでき、患者様の口腔状態に応じた治療計画の提案が実現できます。
また、インプラント手術を行う上で、上下顎の構造や神経の位置、骨密度、インプラントの適切な埋入位置など、把握・確認すべき点が多々ありますが、CT撮影を行うにより、これら内容を正確に把握し、術前に検査・診断の上、患者様により安全な治療提供が可能となります。
歯を失った際の治療は、入れ歯(義歯)やブリッジが一般的でしたが、近年、第3の治療法としてインプラントが普及しています。
インプラントは、チタン製の人工歯根を顎(あご)の骨に埋め込み、その土台の上に人工歯を形成することで、天然歯のような噛み心地と見た目を実現できます。部分入れ歯やブリッジとは異なり、健常な両隣の歯を削ることなく残存率も高い治療法です。
インプラントは、他の治療法に比べて安定感や使い心地が良いとされています。その秘密は「支えの強度」にあります。人間の噛む力は、強く噛みしめたときには、50~60キロもの力がかかるといわれています。根っこ部分が顎骨に支持されている天然歯は、その力に耐えうるようにできているわけです。インプラントはその天然歯と同じ構造で、硬いものを食べたときの違和感や痛みに悩まされることはありません。まずは、お気軽にご相談ください。
インプラント治療を行うにはいくつかの条件があります。まず、土台となる歯槽骨が健康であることです。顎骨が足りない場合は、骨を補う「骨造成」が必要になります。それには、骨移植法、骨再生誘導法、上顎洞底挙上法などがあります。神経との位置関係や歯周病の進行程度なども評価する必要があります。
また、インプラントは外科手術ですから全身の健康状態が良好である必要があり、持病(心疾患、糖尿病など)がある場合、施術が難しいことがあります。顎が完全に成長していない成長発育中の子供も適していません。
術後、歯科での定期的なメンテナンスと毎日の丁寧なブラッシングも大切です。これらをきちんと行わないと歯周病に似たインプラント歯周炎を起こし、土台の骨が侵され支えられなくなることもあります。
インプラントは基本的に3つのパーツからできています。土台となるのが歯槽骨に埋め込むインプラント体と呼ばれる人工歯根です。材質はチタンあるいはチタン合金で、様々な長さや太さがあり、骨量や埋める位置によって選択します。その上に上部構造と呼ばれる人工の歯をかぶせます。材質はレジン(プラスチック)、セラミック(陶器)、セラミックとレジンを混ぜ合わせたハイブリッドセラミック、金合金などがあり、強度や色調に違いがあります。人工歯根と上部構造の間にはアバットメントという部分があり、2つを連結するとともに人工歯根を守る役割を担います。材質はチタン、チタン合金、ジルコニアなどです。
歯が抜けてしまった部位に人工歯根を入れて、天然歯のような噛み合わせを回復します。部分入れ歯やブリッジのように周りの歯を削ることなく、単独で治療ができます。
天然歯のように噛む力を顎の骨が直接受け止めるため、残存歯への過剰な負担を防ぐことができます。
インプラントと顎骨が結合するため、入れ歯などの義歯では味わえない天然歯に近い噛みごたえが期待できます。留め具などもなく、ご自分の歯と同様の感覚が得られます。
歯ぐきから歯が生えている状態を再現できます。天然歯と区別がつかない自然な仕上がりです。
インプラントは利便性や快適性、さらには審美性を求める風潮が広まる中で、それらの要望に応えることができる補綴(ほてつ)治療といえます。
顎にインプラントを埋め込む外科手術で、骨と結合するまでの時間も要するため、治療期間が長くかかります。
健康保険の適用外で自費診療になるため、治療費が高額になります。
糖尿病などの全身的な疾患や、顎の骨の状態がよくない方は、治療に制限がかかります。事前にご相談ください。また、成長発育中の子供には適していません。インプラントは骨と結合するため、顎骨の発育に伴って骨の中に埋没してしまうためです。
インプラント周囲炎(歯周病)になるリスクがあるため、丁寧なブラッシングが必要です。インプラントは歯根よりも細いため、歯ぐきとの境目に段差ができやすく、汚れがたまりやすい部分があります。磨き方のコツを習得していただく必要があります。歯科での定期的なメンテナンスも必要になります。
インプラントには、インプラント体とアバットメントが一体となったワンピースタイプと、インプラント体にアバットメントを連結するツーピースタイプがあります。形状はスクリュー(ネジ状)タイプとシリンダー(円筒形)タイプがありますが、スクリュータイプのほうが初期固定(インプラント体が骨によって固定されること)が得られやすいことや、噛む力を周囲の骨に分散できることから広く採用されています。
1
検査とカウンセリング
まずは、レントゲンや歯科用CTを使って、お口の状態を正確に把握することから始まります。CT検査ではスキャンしたお口の中のデータを3D化し、コンピュータ上で、埋入する部位の骨の状態(質、厚み、高さ)や血管の位置などを確認し、手術のシミュレーションを行います。この検査結果に基づいて最適な治療計画を立案します。内容はカウンセリングで丁寧に説明いたします。カウンセリングでは治療へのご希望やご不安などもうかがいますので、遠慮なくお話しください。
2
術前クリーニング
インプラントを埋め込む前に、感染症を起こすことがないようお口の中を清掃し、菌の数を減らしていきます。
3
インプラント手術
術式は手術を1回だけ行う1回法と、2回に分けて行う2回法があります。手術ではもちろん麻酔を使用するため、痛みを感じることはありません。
インプラント体を埋める部位の粘膜を切開し、骨を露出させて専用ドリルで穴を開けます。そこにワンピースインプラントを埋め込みますが、ツーピースインプラントの場合には、インプラント体を埋め込み、同時にアバットメントを連結します。
インプラント体を埋め込む工程は1回法と同様ですが、インプラントはアバットメントが分かれているツーピースインプラントを使用します。インプラント体を埋め込んだ後、上部の穴にカバーを装着し、切開部を縫合して1次手術は終了です。
1次手術から数カ月経ったら(上顎は5カ月前後、下顎は3カ月前後が目安)2次手術を行います。2次手術はカバーの上の粘膜を切開し、カバーを除去して仮のヒーリングアバットメントを連結します。粘膜が治癒したら(2~3週間が目安)本物のアバットメントを連結して終了です。
4
人工歯の作成と装着
2次手術を終え、歯肉の状態が安定したら、型取りを行って仮歯を作製します。この際、かみ合わせや舌の違和感、頬を噛むなどの不具合がないかを確認し、調整します。最終的に完成した人工歯をアバットメントに装着して治療は終了です。
5
メンテナンス
インプラントはメンテナンスが重要です。インプラントを長持ちさせるには日常の手入れと観察(メンテナンス)が大切です。清掃は歯科衛生士が専用歯ブラシなどを使用して指導します。また、定期的にかみ合わせの確認やレントゲン撮影をしてインプラント体の周囲骨の吸収状態などを診査します。装着後1カ月、3カ月、6カ月、1年と1年以内は短い間隔の期間で行い、1年以降は問題がなければ年1回のメンテナンスを行います。